はじめに：長寿時代の終活とは何か
人生100年時代が現実味を帯びる中、老後を穏やかに、そして自分らしく生きるためには「備え」が欠かせません。これまでの終活は「人生の終わり」に備えるものでしたが、今は「人生をより良く生きるための準備」としての意味を持つようになっています。老後を自由に、安心して過ごすためには、あらかじめ考え、準備しておくことが不可欠です。この記事では、70代までに進めておくべき終活の内容について、5つの視点からわかりやすくご紹介します。
70代から始める終活の心得
70代に入ると体力や判断力の変化が現れやすくなります。これまでのように何事もスムーズにこなせるとは限らず、物忘れや体調の変化が増えてくる時期でもあります。そのため、終活は一気にすべてを片付けようとするのではなく、項目ごとに優先順位をつけて計画的に進めることが大切です。1日で全てをやろうとせず、週ごと・月ごとに目標を定めて段階的に取り組むことで、心と身体に無理なく、生活の質を保ちながら準備ができます。家族と協力したり、専門家の力を借りることも選択肢として活用しましょう。
財産・資産の整理は終活の出発点
終活の中でも特に重要なのが、財産や資産の整理です。自分の持っている資産を正確に把握し、エンディングノートなどに記録しておくことで、相続時のトラブルを未然に防ぐことができます。
✅ 銀行口座、証券口座、不動産、保険、年金情報などを一覧にまとめておく
✅ 使っていない銀行口座や証券口座は早めに解約や統合
✅ 不動産や借入金、ローンなどの情報も明確に記録
負債も相続財産に含まれるため、資産だけでなく負債の内容も正確に明記しておくことが、家族にとっての安心につながります。
医療・介護に関する意思表示の明確化
高齢になると、急な病気や怪我によって判断能力が低下するリスクが高まります。そのような場合に備え、延命治療や介護に関する意思を事前に示しておくことが大切です。
🩺 延命措置の希望の有無（胃ろう・人工呼吸器など）
🩺 介護の希望内容（在宅・施設など）
🩺 かかりつけ医との連携・訪問診療の検討
これらを文書で明記し、家族や関係者と共有しておくことで、もしもの時にも周囲が迷うことなく対応できます。
法的な備えで“万が一”に備える
遺言書や任意後見契約、死後事務委任契約といった法的手続きも終活において重要です。
📜 遺言書で財産分配を明確にし相続トラブルを防止
📜 任意後見契約で判断能力低下時の代理人を確保
📜 死後事務委任契約で葬儀・整理などの事務を委任
これらの契約は信頼できる専門家に相談しながら整えることで、より確実な備えとなります。
一人暮らしの人が意識すべき身元保証
高齢で一人暮らしをしている方にとっては、身元保証の確保が非常に重要です。入院や施設入居の際には、保証人が求められるケースが多いためです。
👤 親族・友人に身元保証人を依頼
👤 専門の身元保証サービスの利用を検討
👤 緊急連絡先を一覧にまとめておく（名前・電話番号・対応希望）
特に親しい家族がいない場合には、身元保証サービスの利用が安心につながります。必要事項はエンディングノートにも記録しておきましょう。
住まいと暮らしを見直すタイミング
終活には、生活環境の見直しも欠かせません。使っていない物を整理し、生活空間を整えることは、転倒などのリスクを減らすだけでなく、心にも余裕を生み出します。
🏠 不要な物を処分して転倒リスクを軽減
🏠 自宅継続か施設入居かの住まい方針を検討
🏠 趣味や人との交流を意識して生活を豊かに
生活スタイルや体力、経済状況に応じて、自分らしく快適に暮らせる選択肢を見つけましょう。
エンディングノートで思いを「見える化」
終活を進めるうえで、エンディングノートの活用は欠かせません。自分の希望や思いを整理し、記録しておくことで、周囲に伝えるべき内容を明確にすることができます。
📝 氏名・住所・連絡先・家族構成などの基本情報
📝 財産一覧と保管場所の記録
📝 医療・介護・葬儀に関する希望
ノート形式だけでなく、デジタル形式で保存するのも近年では一般的です。いつでも更新できるようにしておくと、状況の変化にも柔軟に対応できます。
おわりに：人生の最終章を自分らしく彩るために
終活は「人生の終わりの準備」というだけではなく、「人生の整理と再設計」の時間です。70代からの終活は、体力や判断力の変化を考慮しながら、自分にとって本当に大切なことを見つめ直す好機でもあります。人生100年時代を前向きに、豊かに生き抜くために、無理のないペースで終活を進めていきましょう。整理整頓された暮らしと心が、明日への安心と喜びをもたらしてくれるはずです。
コメント