60代から始める終活が最も適している理由と7つの準備と心構え

60代から始める終活が最も適している理由 学び
60代から始める終活が最も適している理由

終活という言葉を耳にする機会が増えていますが、「いつから始めたらいいのか」と迷う方も多いのではないでしょうか。終活とは、自分の人生の最期に向けてさまざまな準備を行うことを指します。しかし、その本質は「残りの人生をよりよく生きるための見直しと整理」にあります。

この記事では、ファイナンシャルプランナーとして10年以上高齢者支援に関わってきた筆者が、特に60代の方にとってなぜ今が終活の最適なタイミングなのかを解説し、すぐに実践できる準備内容とその心構えをご紹介します。未来の安心のため、そして今の暮らしをより充実させるために、ぜひ参考にしてください。

終活はいつから始めるのが良いのか

終活を始める年齢に明確なルールや正解はありませんが、60代は「備えどき」として非常に適したタイミングです。その理由は主に以下の4つです。

  1. 定年退職を迎え、仕事から解放され時間の余裕が生まれる。

  2. 子育てが終わり、家庭の責任から少し解放される。

  3. 健康や判断力にまだ十分な余裕がある。

  4. 健康寿命を意識し、今後の生活スタイルを見直す時期に差し掛かっている。

筆者がこれまでサポートしてきたご相談者の多くも、「60代に入ったことで終活の必要性を強く意識するようになった」と語られています。特に、親の介護や死別を経験するタイミングと重なることで、自分自身の将来に向き合うきっかけになりやすい年代といえるでしょう。

社会的背景と情報環境の変化

社会全体の高齢化や、セカンドライフの見直しを促す情報環境の整備も、終活を後押しする要因となっています。多くのシニア向けメディアや自治体の終活講座、オンラインの終活ツールが登場し、かつてよりもハードルが下がっています。

また、2020年以降のコロナ禍を契機に、自身の健康や将来への備えに対する意識が高まったことも影響しています。筆者の運営する終活勉強会では、60代以上の参加者が全体の7割を超え、「備えの第一歩を踏み出したい」という前向きな声が多く聞かれます。

健康寿命を意識した準備の重要性

厚生労働省によると、健康寿命(介護を必要とせずに生活できる期間)は、男性で72.68歳、女性で75.38歳とされています。平均寿命よりも数年短いため、70代を迎える前に意思決定を終えておくことが、将来の安心につながります。

終活は「備え」であると同時に、「意思を形にする」ことでもあります。介護、医療、住まい、財産、デジタル資産など、自分の希望を明確にしておくことで、判断能力が十分にあるうちに自らの未来を設計できます。

終活の専門家が勧める7つのステップ

終活は一気に進める必要はありません。むしろ、できるところから始めることが長続きのコツです。ここでは筆者が提案する基本の7ステップをご紹介します。

  1. 介護や医療についての希望を明文化する 延命治療の希望、住みたい場所、介護を誰にお願いしたいかなどを書き出しましょう。医療・介護の場面で家族の負担を減らせます。

  2. 財産・資産をリスト化する 預貯金や年金、不動産、保険、株式、デジタル通帳などを一覧にまとめましょう。特にネット銀行や証券は忘れられがちです。

  3. 身の回りのものを整理する(生前整理) 衣類・本・家具などを少しずつ整理することで、気持ちの整理にもつながります。遺品整理の負担も大幅に軽減されます。

  4. エンディングノートを作成する 希望する葬儀の形、連絡先、資産情報、介護・医療の希望などを記録します。ノートの保管場所や存在を家族に伝えておくことも重要です。

  5. デジタル資産の管理 SNS、ネットバンク、クラウド保存のデータなどのパスワードやIDの整理も必要です。削除希望のアカウントについても明記しておきましょう。

  6. 感謝や思いを伝える準備 家族や友人への手紙やメッセージの準備は、自分自身の生き方を見つめ直すきっかけにもなります。

  7. 家族との対話の時間を持つ 終活は一人で完結するものではありません。家族と話し合い、意向を共有しておくことで、安心と信頼が育まれます。

終活の早期スタートがもたらす3つの安心

  1. 心理的安心感 やるべきことが明確になることで、将来に対する不安が軽減され、精神的に安定した生活を送ることができます。

  2. 家族の安心と負担軽減 何も決まっていない状態より、明確な希望がある方が、残された家族にとっては圧倒的に助かります。

  3. 自分らしいセカンドライフの設計 終活を通じて、自分の価値観や人生観を再確認し、「どう生きたいか」を見つけることができます。これは、老後の充実度に直結します。

まとめ:人生の節目にこそ、前向きな終活を

「終活っていつから始めるの?」という問いに、私はこう答えます。「気づいた今が、その始めどきです」。

60代は、体力・判断力・生活設計力の3拍子がそろった、まさに終活に理想的な年代です。人生100年時代を生きる私たちにとって、終活は『人生の終わりの準備』ではなく、『これからを自分らしく生きるための準備』なのです。

未来の自分、そして家族のために。今日から少しずつ、終活という「人生の再設計」に向けた一歩を踏み出してみませんか。

 

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