自分らしい最期を迎えるために|60代から“リビングウィル”入門

自分らしい最期を迎えるために|60代からの“リビングウィル”入門 学び
自分らしい最期を迎えるために|60代からの“リビングウィル”入門

60代になったら、人生の締めくくりについても考える時期に入ります。生き方と同じように、「死に方」にも自分らしさを反映させたいと願う人が増えています。そのためには、どのような終末期を望み、どのような医療を受けたくないのかを明確にしておくことが大切です。

リビングウィルは、将来の医療に対する意思を文書にして残すことで、家族や医療従事者が本人の希望を理解し、尊重しやすくなる仕組みです。


リビングウィルとは?

リビングウィルとは、重篤な病気や事故などで判断能力を失った場合に備え、回復の見込みがないときに「延命治療を望まない」「痛みの緩和を希望する」といった意思をあらかじめ文書で示しておく事前指示書です。

これは単なる延命治療の拒否にとどまらず、どこで最期を迎えたいか、誰と過ごしたいかなど、終末期を自分らしく過ごすための広範な希望を伝える手段でもあります。


日本における法的背景と現状

日本では、リビングウィルに関する明確な法律はまだ存在しませんが、医療現場では一定の尊重がなされています。

主なガイドラインと調査結果:

  • 厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」では、本人の意思を尊重する姿勢が示されています。

  • 日本尊厳死協会などの調査では、90%以上の医師がリビングウィルを提示された場合に尊重しているという結果もあります。


なぜ60代でリビングウィルを作成するべきか

  • 判断能力が十分にある時期に備えることができる

  • 家族内での意見の食い違いを避けることができる

  • 医療従事者にとっても治療方針を明確にしやすい

この年代は健康状態に個人差が大きく、元気なうちから備えておくことが理想的です。


リビングウィルとエンディングノートの違い

項目 リビングウィル エンディングノート
内容 終末期医療に関する意思表示 死後の手続きや希望を記録
法的効力 一定の尊重はされるが、明文化された法律はなし 原則的に法的効力なし
主な目的 生前の治療・ケア方針を明確にする 財産、葬儀、相続等の希望を伝える

両者は補完し合うものとして併用がおすすめです。


リビングウィル作成のポイント

  • 氏名・住所・連絡先などの基本情報

  • 延命治療(人工呼吸器・心肺蘇生・点滴等)に関する意思

  • 緩和ケア(痛みの軽減や鎮静)についての希望

  • 医療代理人(意思決定の委任者)の指定

  • 最期を迎えたい場所や状況の記載

  • 第三者2名以上の証人署名


作成手順と活用の流れ

  1. 公的機関や医師会のテンプレートを参考にする

  2. 家族やかかりつけ医と「人生会議」を行い、意思を共有する

  3. 文書を自筆で作成し、署名と証人の記載を行う

  4. 作成後は家族・医療機関にも写しを渡し、必要に応じて見直しを行う


60代から始めるためのアドバイス

  • かかりつけ医に日常の診察時に相談する

  • エンディングノートも並行して作成する

  • 弁護士や公証人に相談することで、公正証書化も可能

  • 作成した文書は必ず家族や医療機関に伝え、写しを保管しておく


見直しと更新の重要性

健康状態や家族状況は常に変化します。リビングウィルも定期的な見直しが重要です。

  • 年に1度程度を目安に更新する

  • 最新版を家族・関係機関に共有する


公正証書化の選択肢

弁護士や公証人と連携し、リビングウィルを公正証書として作成することで、法的な裏付けを強化することができます。特に家族構成が複雑な場合や、意思の明確な証明が必要なケースでは有効です。


文書の保管と共有

  • 自宅の分かりやすい場所に原本を保管

  • 家族や医療機関、医療代理人に写しを渡す

  • デジタル保存(PDFなど)も併用すると安心です


リビングウィルの歴史的背景

リビングウィルの概念は1970年代のアメリカで生まれました。 その後、多くの国で「自分の治療を選ぶ権利」として認識され、日本でも徐々に普及しています。


まとめ:自分らしい最期のために今から準備を

人生の最終章を自分の望む形で迎えるために、リビングウィルの作成はとても有効な手段です。元気なうちから備え、家族や医療者としっかり共有し、定期的に見直すことが、安心と尊厳ある最期につながります。

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