こんにちは。ファイナンシャルプランナーの原口です。今回は、固定費の見直しについて考えていきたいと思います。
固定費の見直しは、無理なく家計を軽くする一番の近道です。特に、電気・ガス・水道・通信・有料放送・サブスクといった毎月必ずかかる費用をまとめて点検すれば、月6,000円〜1万円超の節約も十分に狙えます。
「難しそう」「手続きが面倒」と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、ご安心ください。この記事では、60代以降の生活スタイルに合わせた安全・確実・わかりやすい見直し手順を、チェックリストとすぐに使えるテンプレート付きで解説します。この情報を参考に、ご自身のペースで無理なく家計をスリムにしていきましょう。
なぜ今、固定費の見直しが大切なのでしょう?
一度契約すると、ほとんどの人が見直す機会を持たないのが固定費です。しかし、実は毎月支払っている金額の中には、気づかないうちに無駄なコストが含まれていることが少なくありません。
例えば、数年前に契約したスマホプランやインターネット回線は、今ではもっと安くて便利なプランが出ている可能性があります。また、何年も使っている有料放送やサブスクリプションサービスも、「そういえば最近見ていないな」というものがありませんか?
これらの公共料金をまとめて節約することは、一度きりの作業で、その効果が毎月続くという大きなメリットがあります。無理して食費を切り詰めるような節約とは異なり、日々の生活の豊かさを保ちながら、確実にお金が貯まる体質をつくることができるのです。
90分で完了!まずは現状把握から始める「週末の見直しプラン」
固定費の見直しは、やみくもに進めるのではなく、まず現状を正確に把握することが成功への近道です。まずは、この「週末の見直しプラン」に沿って、90分でできる準備から始めましょう。
ステップ1 直近3ヶ月分の請求書を集める(0〜15分)
まずは、ご自宅のすべての請求書を集めてみてください。以下のような費目が対象になります。
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電気/ガス/水道
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スマホ/固定回線(光回線など)
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有料放送(WOWOWなど)/NHK受信料
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見守り・防犯サービス
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サブスクリプションサービス(動画・音楽配信、新聞など)
夏の時期はエアコン、冬は暖房や給湯で電気・ガスの使用量が増えがちです。季節による変動を把握するため、直近3ヶ月分の請求書を並べて、使用量の変化をメモしておくと見直しのヒントになります。
ステップ2 「契約台帳」にまとめる(15〜45分)
請求書が集まったら、契約情報を1枚の用紙やノートアプリにまとめます。
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契約者名
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会社名/プラン名
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お客様番号やログインID
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月額料金
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更新月や解約金
こうして情報を一元化することで、後々のプラン変更や解約手続きが格段にスムーズになります。この記事の最後に「契約台帳テンプレート」をご用意しましたので、ぜひご活用ください。
ステップ3 費用対効果が高い順に優先順位をつける(45〜70分)
次に、見直しの優先順位をつけます。短時間で大きな節約効果が期待できる項目から取り組むのがおすすめです。
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通信(スマホ・固定回線)
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プラン変更だけで月数千円下がることもあります。
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サブスク
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利用していないサービスは即解約することで、すぐに節約効果を実感できます。
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電気・ガス
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契約アンペアや料金メニューの見直し、セット割の有無を確認します。
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費用対効果の高い通信費・サブスク整理のポイント
通信費とサブスクリプションサービスは、見直しの即効性が高く、公共料金をまとめて節約する上で欠かせない項目です。
スマホや固定回線の見直し
スマホや固定回線は、毎月の利用状況をチェックしてみましょう。
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スマホ
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データ使用量: 直近3ヶ月の平均データ使用量を確認します。実際の使用量に対して、契約プランのデータ容量が多すぎませんか?
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通話頻度: 長電話が多い場合は、通話定額プランへの変更を検討しましょう。
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家族構成: 家族割を組んでいる場合は、名義や回線構成を見直し、不要な回線があれば解約を検討してください。
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固定回線
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利用状況: 在宅時間が長かったり、動画視聴が多かったりする場合は、光回線がおすすめです。スマホの通信会社とセット割があるかどうかも確認し、実質料金で比較することが大切です。
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ルーターの年式: Wi-Fiの速度が遅いと感じる場合、古いルーターが原因かもしれません。回線そのものではなく、ルーターを買い替えるだけで速度が改善されることがあります。
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オプション: 留守番電話やセキュリティ、端末保証などのオプションに重複がないか確認し、不要なものは外しましょう。
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使っていないサブスクはすぐに解約
「いつか使うかも」と思って契約したままのサービスはありませんか?サブスクリプションサービスは、使わなければただの無駄な出費になってしまいます。
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保留フォルダ: 3ヶ月以上利用していないサービスは、思い切って一度「保留フォルダ」に移動させてみましょう。
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解約の検討: 1ヶ月様子を見て、やはり使わないと判断したらすぐに解約します。
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ファミリープラン: 家族内で同じサービスを別々に契約している場合は、ファミリープランに集約することで安くなることがあります。
電気・ガス・水道の賢い見直し術
生活に欠かせない電気・ガス・水道も、ちょっとした工夫や契約の見直しで確実に節約ができます。
電気の見直しポイント
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契約アンペア(A)・基本料金: 頻繁にブレーカーが落ちない範囲で、契約アンペア数を見直します。基本料金が安くなる可能性があります。
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料金メニュー: 日中の在宅時間が多い場合は、時間帯別に料金が変動するプランよりも、定額に近いメニューの方が安心な場合もあります。
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家電の使い方: 洗濯機や食洗機は電気代が安い時間帯に予約するなど、家電の使い方を工夫するだけで節約になります。
ガスの見直しポイント
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給湯温度・風呂の追い焚き: 給湯温度を1〜2℃下げる、お風呂の追い焚き回数を減らすだけでも、ガス代は確実に安くなります。
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セット割: 電気とガスを同じ会社で契約すると適用される「セット割」は、スマホのセット割などと重複していないか、総合的な金額で比較することが大切です。
水道料金の見直しポイント
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漏水チェック: 家の止水栓を閉めているのに、水道メーターが動いている場合は、漏水の可能性があります。すぐに業者に点検を依頼しましょう。
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節水器具: シャワーヘッドや蛇口に取り付ける泡沫器(ほうまつき)といった節水器具を活用すると、意識しなくても使用量を減らせます。
忘れがちな「準固定費」や支払い方法の最適化
毎月必ずかかる費用は、通信費や光熱費だけではありません。見守りサービスや保険、そして支払い方法まで、細かく見直すことでさらに家計が軽くなります。
受信料・有料放送の見直し
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支払い方法の統一: 口座振替やクレジットカード払いに統一することで、手数料削減やポイント加点につながります。
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BS・4Kチャンネル: BSや4Kチャンネルをほとんど見ていない場合は、思い切って一度解約を検討してみましょう。
見守り・防犯・保険などの“準固定費”
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サービスの重複: 見守りサービスとスマホの位置情報共有アプリなど、機能が重複しているサービスはありませんか?
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保険の見直し: 火災保険や地震保険は、補償が重複していないか、また長期一括払いでの割引がないかを確認し、更新時期を「契約台帳」に記録しておきましょう。
支払い方法の最適化
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ネット明細: 紙の請求書には発行手数料がかかる場合があります。ネット明細に切り替えるだけで手数料が節約できます。
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引き落とし日の分散: 複数の公共料金の引き落とし日が集中していると、家計管理が難しくなります。引き落とし日を分散させることで、資金繰りの不安を軽減できます。
よくある失敗と対処法、そして実際の節約効果の目安
せっかく見直しを始めても、途中で挫折したり、かえって損をしてしまうこともあります。よくある失敗を知り、確実な節約を目指しましょう。
よくある失敗と対処法
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訪問販売や電話勧誘での即決
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その場で契約せず、「家族と相談します」「後日検討します」と伝え、必ず書面や公式サイトで条件を総額で確認することが大切です。
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セット割の“お得見え”に騙される
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「スマホとセットで割引!」と聞くとお得に感じますが、解約違約金や必須オプションなど、総額で比較すると実は損をしていることもあります。
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「解約完了」の未確認
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解約やプラン変更を申請した後は、必ず完了通知を保存しておきましょう。
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目安の節約効果(夫婦2人・在宅多めの例)
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スマホ2回線のプラン最適化
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月 −3,000〜5,000円
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固定回線の見直し
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月 −500〜1,000円
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サブスク2本解約
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月 −1,000〜2,000円
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電気・ガスの契約見直し+使い方
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月 −800〜2,000円
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支払い方法の統一(ポイント等)
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月 −200〜400円
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合計
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月 −6,000〜10,000円程度(あくまで目安です)
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今すぐ使える!契約台帳テンプレート
見直しを始める際に役立つテンプレートと例文をまとめました。ぜひ印刷したり、スマートフォンに保存したりしてご活用ください。
契約台帳テンプレート
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項目 |
会社名/プラン |
契約者名 |
お客様番号/ID |
月額 |
更新月 |
支払い方法 |
メモ |
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電気 |
アンペア数、料金メニュー |
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ガス |
都市ガス/LP |
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水道 |
漏水チェック済み |
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スマホ(主回線) |
データ量/通話時間 |
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スマホ(家族) |
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固定回線 |
ルーター年式 |
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有料放送 |
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見守り・防犯 |
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サブスク |
まとめ
公共料金をまとめて節約することは、最初は少し手間がかかるかもしれませんが、「一気にやる→年1回の健康診断で再点検」という流れを意識すれば、無理なく継続できます。
最初の90分で「費用対効果の高い3本柱(通信・サブスク・電気ガス)」を終わらせ、あとは支払い方法を整えるだけです。
無理のない節約で、毎月の安心を着実に積み重ねていきましょう。


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